オレアスターオイル(Olea europaea sylvestris)の食事誘発肥満Wistar系雄性ラットの生殖系効率に及ぼす影響
Oleaster oil (Olea europaea sylvestris) effects on the efficiency of the reproductive system of dietinduced obese male Wistar rats J Complement Integr Med . 2023; 20: 748
オレアスターオイル:Olea europaea sylvestris(野生のオリーブ)から生産したオイル。この研究の目的は、オレアスターオイルが食事誘発性の肥満が引き起こす男性不妊に及ぼす影響をモデル動物(ラット)を用いて評価すること。結果、オレアスターオイル経口摂取が精子数と生存性を向上させ、断片化した精子DNAの割合を減少させ、精巣を酸化ストレスから保護した。その有益な影響は、オイルの摂取量に依存していることが示唆さた。
Graphical Abstract
目的:肥満は酸化ストレス(OS)の結果であり、これは男性不妊に関連しているようである。オレアスターオイルは、天然の生物活性化合物を豊富に含むため、複数の治療効果がある。本研究は、食事誘発性肥満のWistar系雄性ラットの生殖系に対するアルジェリア産オレアスターオイルの効果を評価することを目的とした。
方法:オイルはオレアスターの果実から抽出した。ラットに28週間、普通食(NC群、n=8)と高脂肪・高ショ糖食(HFHS群、n=32)の2種類の餌を与えた。HFHS群の肥満ラットは、HFHS群、HFHS L-OO群、HFHS H-OO群の3群に無作為に分けられた:HFHS群はHFHS食を継続し、HFHS L-OO群とHFHS H-OO群は、それぞれ1.5および3 mL/100g体重(BW)のオレアスターオイルを6週間併用した。その後、動物を安楽死させたのち、精液および精巣を摘出し、精液分析、OS評価および病理組織学的評価を行った。
結果:オレアスターオイル給与群は、HFHS給与群と比較して精子数と生存率の改善、断片化した精子DNAの割合の減少を誘導し、精巣MDAの非常に有意な減少と共に精巣をOSから保護した。HFHS飼料を与えたラットの生殖効率に対するオレアスターオイルのこの有益な効果は、用量依存的であった。
結論:その結果、オレアスターオイルはHFHS飼料を与えた動物の体重を減少させ、OSを予防し、雄の生殖指標を改善することが示された。生殖能バイオマーカーに対するオレアスターオイルの潜在的なプラスの効果は、OSを軽減する能力に起因している可能性がある。
コメント
この研究は、オレアスターオイル(オリーブオイル)の経口摂取が肥満に関連する男性不妊に対して有益な影響を持つ可能性があることを示唆しています。本研究で得られた結果が再現性のあるもので、ヒトにおいても同様の結果が得られるものであるなら、オリーブオイルが男性不妊に対して有益な治療法の一つとなることが期待できます。しかしながら、論文中の結果に幾つか疑問が残るため、この結論には慎重な解釈が必要となると考えます。