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MRI R2*値による卵巣子宮内膜症の鉄沈着評価は卵巣機能を予測する

Iron deposition in ovarian endometriosis evaluated by magnetic resonance imaging R2* correlates with ovarian function Reprod Biomed Online 2023; 47: 103231

マウス卵巣を用いた基礎研究で、鉄過剰の状態がAMH生産量を減少させ、ROS生産量を増加させることを示しつつ、臨床研究として、MRIによる卵巣の鉄沈着を測定し、卵巣機能の評価に応用できる可能性を示した研究。

Graphical Abstract

Graphical Abstract MRI R2*値による卵巣子宮内膜症の鉄沈着評価は卵巣機能を予測する
患者のMRI画像/左からT1WI,T2WI,T2WIとR2*の融合画像。A-Cは子宮内膜症患者の画像、D-Eは形質細胞性膀胱腺腫患者の画像である。嚢胞液および病変の鉄濃度の測定に使用したMRIの代表例。MRI R2*は子宮内膜症における嚢胞液の鉄含有量を効果的に反映していることが確認できる(C)。このことから、MRI R2*値は子宮内膜症病変の鉄沈着レベルを反映する効果的で非侵襲的なツールである可能性が示唆された。

背景:子宮内膜症(EM)患者における鉄過剰症は卵巣機能に影響を及ぼすが、鉄沈着に伴う卵巣機能の障害を視覚的に反映する方法が不足している。

デザイン:本研究では、MRI R2(R2値は主に鉄の蓄積を反映するとされている)を用いてEM患者の卵巣の鉄沈着を評価し、抗ミュラー管ホルモン(AMH)との相関を検討した。

対象:EM群57人:18~50歳の女性、超音波検査で卵巣子宮内膜症が示唆された。対照群31人:18-50歳の女性で、超音波検査で卵巣嚢腫奇形腫、卵巣形質細胞腫、卵巣粘液性嚢胞腺腫、単純性卵巣嚢腫が示唆された。

方法:全患者はT2* MRIスキャンを受けた。血清AMH値も術前に測定した。ノンパラメトリック検定を用いて、EM群と対照群の局所鉄沈着面積、嚢胞液中の鉄含有量、AMH値を比較した。加えて、マウス卵巣から顆粒膜細胞を単離培養、鉄の添加培養によるAMH転写活性および分泌量、ROS生産量の変化を解析した。

結果:鉄沈着面積(p=0.0006)、膀胱液の鉄含有量(p<0.0001)、病変部のR2(p=0.0015)、膀胱液のR2(p<0.0001)において、EM群と対照群の間に有意差が認められた。18〜35歳のEM患者において、血清AMH値と膀胱病変のR2との間に負の相関がみられた(r=-0.6484、p<0.0001)。さらに、18〜35歳のEM患者では、血清AMH値と膀胱液のR2との間に負の相関が認められた(r=-0.5074、p=0.0050)。マウス培養細胞を用いた解析の結果、AMHの転写レベル(p<0.0005)および分泌能(p<0.005)は、培地中の鉄濃度の上昇とともに有意に低下した。一方、ROS生産量は培地中の鉄濃度の上昇とともに増加し、DFO(鉄依存の過酸化脂質の蓄積に起因する「制御された細胞死」の一つフェロプトーシスの阻害剤)の添加により有意に低下した。

結論:鉄沈着は卵巣機能を低下させ、この変化はMRIのR2に反映される。患者の血清AMH値および嚢胞性病変または体液のR2*は、18-35歳のEMと負の相関を示した。R2は鉄沈着による卵巣機能の変化を反映するために使用できる。

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