最新文献紹介

サプリメントと体外受精:エビデンスに基づくアプローチ

体外受精(IVF)の成功率を高めるために栄養補助食品を使用することに焦点を当てたレビュー。著者たちは、体外受精における栄養補助食品の利用に関する科学的根拠を検討し、その有効性を評価している。このレビューでは、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質、オメガ-3脂肪酸など、さまざまな種類の栄養補助食品がIVFの成果に与える影響を調査し、それらが卵子の質、胚の発育、そして妊娠率にどのように作用するかを分析している。論文は、これらの栄養補助食品がIVFの成功に寄与する可能性がある一方で、その使用には科学的根拠に基づくアプローチが必要であると強調し、適切な補助食品の選択と用量に関する指針を提供している。また、不妊治療における栄養補助食品の潜在的な利点とリスクについても考察している。

Graphical Abstract

Graphical Abstract サプリメントと体外受精:エビデンスに基づくアプローチ
栄養学的アプローチは地中海食の採用であることが示唆されている。

体外受精を受ける女性の多くは、治療中にサプリメントを摂取している。このレビューの目的は、これらの栄養補助食品を系統的にレビューすることである。

研究対象とした療法は、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、メラトニン、コエンザイムQ10(CoQ10)、カルニチン、セレン、ビタミンD、ミオイノシトール、オメガ3、レスベラトロール、漢方薬、食事介入である。2023年5月までの文献検索が行われた。

このデータから、単純な栄養学的アプローチは地中海食の採用であることが示唆される。卵巣刺激に対する潜在的な卵巣反応不良を治療するためのサプリメントに関しては、周期開始前にDHEAとCoQ10を開始することが対照療法よりも優れている。

さらに、CoQ10を用いた薬物療法は、高齢の女性、卵巣刺激に対する反応が悪い女性、胚の発育が悪い女性に適しているかどうかは不明であるが、ある程度のメリットがあると思われる。

メラトニンの使用は体外受精の成績によっては有益であるように思われるが、どのような患者群に有益性があるのか、また適切な摂取法は不明である。

多嚢胞性卵巣症候群の女性には、ミオイノシトールの使用が有益である可能性があるが、これも詳しい摂取法は不明である。

また、オメガ3遊離脂肪酸の補充は、体外受精の臨床的および胚学的転帰の改善につながる可能性がある。

コメント

著者らは「体外受精治療を受ける女性を支援するための可能な治療戦略を前進させるために、文献から結論を導き出そうとする場合、比較的簡単なアプローチの1つは、体外受精治療を受けている間、地中海料理を採用することであろう。しかし、さらなる補充を求めるのであれば、現実的なアプローチとして、妊娠しにくい根本的な原因をさらに解明する必要がある。」とまとめています。このまとめは非常に明確であり、サプリメントの現状を表していると感じます。食生活の改善としては地中海料理を挙げているが、これが意味するのは恐らく現代食で不足しがちな海産物や植物性の栄養素を日常的に、子供の頃から取り入れることだと思います。そういう意味では日本の伝統的な和食も、それに適しているように感じます(少し手を加えれば)。サプリメントに関しては、研究を積み重ね適切な使用方法を明らかにしていくことが求められています。今後さらなる研究により、明確な根拠をもってサプリメントを使い分けることが可能になると考えます。

ページトップに戻る

CONTACT

お問い合わせ

共同研究講座事務局

株式会社パートナーズ内