加齢に伴う卵巣機能の低下に対して有効なサプリメントを開発するためには、老化のメカニズムを理解することが必須です。ここでは、基礎老化学や栄養老化学、寿命と老化の分子メカニズム研究を専門とする当講座の特任教授である清水孝彦先生が「老化のメカニズム」について、動画でわかりやすく解説します。
動画でわかる老化のメカニズム
12の老化特性(Hallmarks of aging)解説コース(12回シリーズ)
2013年に9つのHalmarks of aging(老化の特性)が提唱され、10年後の2023年には新たに3つの特性が加えられました。この12の老化特性について解説します。
- 1. ゲノム不安定性
- 2. テロメア短縮
- 3. エピジェネティクス変化
- 4. タンパク質恒常性喪失
- 5. オートファジー機能低下
- 6. 栄養感知の制御不全
- 7. ミトコンドリア機能不全2025年4月3日公開予定
- 8. 細胞老化2025年4月3日公開予定
- 9. 幹細胞枯渇2025年4月10日公開予定
- 10. 細胞間情報伝達の変調2025年4月10日公開予定
- 11. 慢性炎症2025年4月17日公開予定
- 12. 腸内細菌叢の変調2025年4月17日公開予定
1. ゲノム不安定性
老化特性の最初に挙げられるゲノム不安定性は、DNA損傷によって引き起こされ、老化や疾患の中核要因である。また遺伝性早老症はDNA修復関連遺伝子の異常で発症する。
2. テロメア短縮
染色体末端構造であり、特徴的な繰り返し配列は細胞分裂に伴い短縮する。テロメア構造は、細胞分裂限界を規定する回数券であり、ゲノム構造の安定化に寄与する。
3. エピジェネティクス変化
主にヒストンタンパク質の翻訳後修飾(メチル化やアセチル化等)やDNAのメチル化を示し、遺伝情報とは独立して遺伝子発現やゲノム構造を制御している。
4. タンパク質恒常性喪失
タンパク質は適切な折り畳み構造を持ち、生理的な役割を担っている。この構造が変化・破綻すると分解され再利用されるが、時に病的な凝集体になると疾患や老化要因となる。
6. 栄養感知の制御不全
複数の栄養感知シグナル経路は種を越えて個体寿命を制御している。それらのシグナル経路を調節できる化合物は個体寿命や健康寿命の延伸が期待できる。